集中ブースかオープンスペースか?業種別・オフィス環境選びの最適解

コラム

本記事では、現代の多様な働き方に合わせ、集中ブースとオープンスペースのどちらが自社に適しているのか、業種別の視点から解説します。それぞれのメリット・デメリット、選択のポイントに加え、座席管理ツールを活用した効率的なオフィス運用についてもご紹介し、生産性とコミュニケーションを両立する理想的なオフィス環境づくりのヒントを提供します。

変化する働き方:オフィス環境に求められる新たな役割

ハイブリッドワーク時代のオフィスが担うべき機能とは?

近年、テクノロジーの進化や社会情勢の変化に伴い、私たちの働き方は劇的な変貌を遂げています。リモートワークやハイブリッドワークといった柔軟な働き方が普及し、毎日同じ時間に同じ場所へ出社するという従来のスタイルは必ずしも当たり前ではなくなりました。このような変化の中で、オフィスに求められる役割も大きく変わってきています。もはや、オフィスは単にデスクワークを行うためだけの場所ではありません。チームの結束を強め、新たな価値を生み出すコラボレーションの場、そして企業文化を体感する重要な拠点としての役割が期待されています。

いま、「集中」と「コミュニケーション」のバランスが求められている

現代のビジネスシーンでは、個人が高い集中力を持ってタスクをこなすことと、チームメンバーと活発に意見を交わし協力して仕事を進めること、その両方が求められます。しかし、これら二つの異なるニーズを一つのオフィス空間で同時に満たすことは容易ではありません。例えば、コミュニケーションを重視して開放的なオープンスペースを導入した結果、周囲の話し声や雑音が気になり、集中作業の妨げになってしまうケースは少なくありません。逆に、個々の集中を優先するあまり、部門間のコミュニケーションが希薄になり、新たなアイデアが生まれにくくなるという懸念も生じます。この「集中」と「コラボレーション」の最適なバランスをいかにして実現するか。それが現代のオフィス設計における大きな課題であり、多くの企業が知恵を絞っているテーマなのです。

 

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集中ブースとオープンスペース:基本知識と比較ポイント

集中ブースの特徴・メリット・デメリット

集中ブースは、個人が周囲の環境に左右されずに作業に没頭できるよう設計された空間です。まずメリットとして挙げられるのは、高い集中力の維持です。視覚的、聴覚的な刺激が遮断されることで、思考を中断されることなく業務に取り組めます。特に、オンライン会議が一般化した現在、プライバシーを確保しつつクリアな音声で会話できる快適性は大きな利点と言えるでしょう。

一方でデメリットとしては、閉鎖的な空間であるため人によっては圧迫感を感じる可能性があること、また、過度に利用が進むと偶発的なコミュニケーションの機会が減少する懸念も指摘されます。設置には相応のコストも考慮に入れる必要があります。

種類としては、完全に個室化されたフルクローズ型、一部が開放されたセミクローズ型、電話や短時間のオンライン会議に特化したフォンブースなどがあります。

オープンスペースの特徴・メリット・デメリット

オープンスペースは、壁や間仕切りを極力排した開放的なオフィスレイアウトを指します。

最大のメリットは、部門や役職を超えたコミュニケーションの活性化が期待できる点です。社員同士の顔が見えやすく、気軽に声をかけやすい環境は、情報共有の促進や偶発的なアイデアの創出に繋がります。また、組織変更やプロジェクトの進捗に合わせて柔軟にレイアウトを変更しやすい点も魅力です。

しかし、その開放性がゆえに、周囲の話し声や作業音が気になり集中力が削がれたり、プライバシーの確保が難しかったりするというデメリットも存在します。

形態としては、固定席を持たないフリーアドレスエリア、複数人で集まって作業できるコラボレーションハブ、特定のプロジェクトチームが利用するプロジェクトスペースなど、その運用方法は多岐にわたります。これらのスペースを効果的に活用することが、オープンスペース成功の鍵となるでしょう。

 

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業種別に見る、オフィス環境構築のヒント

IT・ソフトウェア開発業:アジャイル開発と集中作業を両立する空間設計

IT・ソフトウェア開発業では、アジャイル開発のようなチームでの緊密な連携と、エンジニアやプログラマーが個々に深い集中を要するコーディング作業という、性質の異なる業務が混在します。そのため、オフィスレイアウトには、この両立を支援する工夫が不可欠です。

推奨されるバランスとしては、プロジェクトチームごとに利用できるセミクローズドなオープンスペースを設けつつ、その周辺に個々人が集中できる高性能な集中ブースを複数配置する形です。考慮点としては、エンジニアの深い集中を確保するために、ブースの遮音性や予約システムの公平性が重要になります。例えば、「ブース利用は最大2時間までとし、連続利用は不可」といった具体的なルールを設ける、あるいは「プロジェクトの重要なコーディングフェーズでは、チーム単位で一定数のブースを確保できる」といった運用も考えられます。

クリエイティブ・デザイン業:アイデア創出と個の集中を支える環境

クリエイティブ・デザイン業においては、斬新なアイデアを生み出すための自由な発想や、メンバー間の活発な意見交換が求められます。同時に、デザイナーやクリエイターが個々の作業に没頭し、作品のクオリティを高めるための集中環境も不可欠です。そのため、オフィスには多様なコラボレーションを促す、遊び心のあるオープンスペースや、リラックスしながらアイデアを練れるカフェのような空間が有効です。

一方で、細かなデザイン作業や思考を深めるためには、外部の刺激を遮断できる遮音性の高い集中ブースや、静かな個人作業用ゾーンの確保が重要。考慮点としては、インスピレーションを刺激する空間と静寂な作業空間との明確なゾーニング、そしてその間のスムーズな移動を意識すること。例えば、集中ブースの近くには、気分転換ができる小さなリフレッシュコーナーを設けるといった配慮も有効でしょう。

コンサルティング・士業:機密性と専門性を高めるオフィスレイアウト

コンサルティング業や弁護士・会計士などの士業においては、クライアントの機密情報を扱う機会が多く、高度な専門知識に基づいた緻密な作業が求められます。したがって、オフィスレイアウトでは情報セキュリティの確保と、高い集中力を維持できる環境づくりが最優先事項となります。具体的には、施錠可能な個室タイプの集中ブースや、防音性の高いオンライン会議用ブースの設置が有効です。オープンスペースを設ける場合でも、チーム内の情報共有や短時間の打ち合わせに限定し、アクセス管理を徹底するなど、セキュリティレベルを意識したゾーニングが不可欠。考慮点としては、クライアントとのオンライン会議が多い実態を踏まえ、ブース内に十分な資料スペースや高品質なウェブカメラ、照明設備を整えること。また、紙媒体の資料を扱うことも多いため、施錠可能なキャビネットをブース近辺や執務エリアに配置することも重要です。

製造業(研究開発・設計部門):イノベーションを生む技術者のための空間

製造業の研究開発部門や設計部門では、新たな技術や製品を生み出すための実験・検証作業と、高度な計算や解析を伴う設計業務が中心となります。そのため、試作品の製作や実験が行える広めのオープンスペースやラボスペースと、個々の技術者が集中して図面作成やシミュレーションに取り組める静かな執務エリアや集中ブースの組み合わせが考えられます。特に、CAD作業など高い集中力を長時間要する業務には、適切な照明や空調設備を備えた快適な集中ブースが効果を発揮するでしょう。考慮点としては、大型機材の搬入・設置を考慮した動線計画と、知的財産の保護を意識したセキュリティ対策。例えば、特定のプロジェクトに関わるエリアへのアクセス権限を細かく設定したり、設計データへのアクセスログを管理したりする仕組みと連動させることも検討に値します。

その他業種(営業・バックオフィス等):業務特性に合わせた柔軟な組み合わせ

上記以外の多くの業種、例えば営業部門や人事・経理といったバックオフィス部門においても、それぞれの業務特性に合わせたオフィス環境の最適化は重要です。営業部門であれば、外出先からの帰社時に短時間利用できるタッチダウン式のデスクや、オンラインでの顧客対応に使える集中ブースが便利でしょう。バックオフィス部門では、定型的な事務作業に集中できる個人席エリアに加え、部門内ミーティングや他部門との連携のための小規模なオープンスペースがあると業務効率が向上します。考慮点としては、営業部門なら顧客情報へのアクセスセキュリティ、バックオフィス部門ならペーパーレス化の推進とそれに伴う資料保管スペースの最適化などが挙げられます。例えば、営業担当者が外出先からでも安全にブースを予約できるシステムや、クラウドストレージと連携した資料共有の推進などが具体的な取り組みとして考えられます。

 

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最適なオフィス環境実現に向けた次のステップ

導入前に押さえておきたい注意点とよくある誤解

新しいオフィス環境への移行は、従業員にとって大きな変化です。そのため、単に「流行っているから」「他社がやっているから」といった理由だけで安易に導入を進めるのは避けるべきです。「集中ブースを増やせば生産性が上がるはず」「オープンスペースにすれば自然とコミュニケーションが増えるだろう」といった期待は、必ずしもその通りになるとは限りません。最も重要なのは、自社の従業員が実際にどのような働き方をし、何に課題を感じているのかを正確に把握すること。導入前にアンケートやワークショップを実施し、従業員の意見を丁寧にヒアリングするプロセスは不可欠です。現場の声に耳を傾けずにトップダウンで進めてしまうと、新しい環境が形骸化したり、かえって不満を生んだりする可能性すらあります。

オフィス環境改善は継続的な取り組み:PDCAを回すポイント

オフィス環境は一度作ったら終わり、というものではありません。事業内容の変化、組織体制の変更、従業員のニーズの移り変わりなど、企業を取り巻く状況は常に変化しています。そのため、オフィス環境も定期的に見直し、改善を続けていく「PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)」を回す意識が重要です。例えば、座席管理ツールから得られる利用状況データを定期的に分析し(Check)、当初の計画通りにスペースが活用されているか、新たな課題は発生していないかを確認します。その結果に基づいて、レイアウトの微調整や利用ルールの変更、あるいは新たな設備の導入といった改善策を実行(Action)し、再び計画(Plan)に繋げていく。この継続的な取り組みこそが、常に最適なオフィス環境を維持するための鍵となるのです。

自社に最適なオフィス環境を考えるためのアクションプラン

では、具体的に自社に最適なオフィス環境を考えるためには、どのようなステップで進めていけば良いのでしょうか。まずはじめのステップは「現状分析と課題の明確化」です。現在のオフィスで何が問題で、従業員は何に不便を感じているのかを具体的に洗い出します。次に、それらの課題を解決し、どのような働き方を実現したいのかという「理想のオフィス像(ゴール)」を設定します。その上で、従業員サーベイを実施したり、部門代表者を集めたワークショップを開催したりして、具体的なニーズやアイデアを収集。これらの情報と、本記事で紹介したような集中ブースやオープンスペースの特性、業種別の事例などを参考にしながら、具体的なレイアウト案や導入するツールの選定を進めていくと良いでしょう。そして最も大切なのは、全従業員と目的や進捗を共有し、全員参加でオフィス改革を進めていくことです。

 

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まとめ

変化の激しい現代において、オフィス環境は企業の競争力を左右する重要な要素です。集中ブースとオープンスペース、それぞれの特性を理解し、自社の業種や働き方に合わせて最適に組み合わせること。そして、座席管理ツールなどのテクノロジーを活用し、柔軟かつ効率的な運用を目指すこと。これらが、従業員の満足度と生産性を高め、企業の持続的な成長を支えるワークプレイス戦略の鍵となるでしょう。本記事が、皆様のオフィス改革の一助となれば幸いです。

 

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