出社回帰の波にどう備える?企業の総務担当が取るべき施策

コラム

近年、テレワークが普及したことで、オフィス勤務のあり方が大きく変化しました。しかし、ここにきて「出社回帰」の流れが強まっています。企業はなぜオフィス勤務へシフトしつつあるのでしょうか。また、総務担当者はこの変化にどう対応すればよいのでしょうか。本記事では、出社回帰の背景やメリット・デメリット、そして総務担当者が押さえておくべき施策について詳しく解説します。

なぜ企業はオフィス勤務へ回帰しつつあるのか

テレワークが一般的になったにもかかわらず、多くの企業がオフィス勤務を推奨し始めています。その背景には、管理の難しさや企業文化の維持、業務効率の向上といった課題があります。ここでは、企業がオフィス回帰を選ぶ主な理由を解説します。

テレワークによる生産性と管理の課題

テレワークでは、社員の業務進捗やコミュニケーションの管理が難しいという声が多く聞かれます。特に、チームでの共同作業が必要な業務では、オンラインツールだけではスムーズな意思疎通が図れないことがあります。また、個々の業務の進捗管理も、対面より手間がかかり、上司や同僚のサポートを受けづらい環境が生産性の低下につながることもあります。

企業文化・チームワークの再構築の必要性

オフィス勤務を通じて、先輩社員の働き方や企業の価値観を直接体感することは、組織の一体感を醸成するうえで重要ですが、テレワークの普及により、新入社員や若手社員が企業文化を学ぶ機会が減少しています。また、オフィスでの対面コミュニケーションが減ることで、社内の結束力が弱まり、組織全体のモチベーション低下につながる可能性もあります。

コラボレーションとイノベーションの促進

オフィスでの偶発的なコミュニケーションが、新しいアイデアの創出につながることがあります。オンライン会議では議題に沿った話し合いが中心になりますが、オフィスでは何気ない雑談から新たな発想が生まれることも少なくありません。特に、クリエイティブな業務では、対面でのやり取りが必要不可欠と考える企業が多いのも、出社回帰が進む理由の一つです。

 

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企業・従業員にとっての出社回帰のメリット

出社回帰にはさまざまなメリットがあります。特に、コミュニケーションの円滑化や意思決定の迅速化、社員の成長環境の確保といった点が大きなメリットとして挙げられます。ここでは、企業と従業員の双方にとっての利点を解説します。

対面コミュニケーションによる意思決定の迅速化

オフィス勤務の最大のメリットは、対面でのやり取りがスムーズに行えることです。メールやチャットでは時間がかかる意思決定も、オフィスならその場で相談し、素早く結論を出すことができます。特に、緊急の課題や複数部門をまたぐ案件では、リアルタイムの対話が業務のスピードを格段に向上させます。

新入社員・若手の育成環境の強化

オフィスでは、先輩社員の仕事ぶりを間近で見ながら学ぶことができます。特に、新入社員や若手社員にとって、日常的なフィードバックやアドバイスを受ける機会が増えることは、成長スピードの加速につながります。業務のちょっとしたコツやビジネスマナーなども、オフィス環境だからこそ自然に習得できるものです。

企業文化・エンゲージメントの向上

オフィス勤務は、企業文化を浸透させ、社員のエンゲージメントを高めるうえで重要な役割を果たします。共通の空間で働くことで、企業の理念や価値観がより伝わりやすくなり、社員の一体感が生まれます。オフィスでの交流が増えることで、チームワークの向上にもつながります。

 

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企業・従業員にとっての出社回帰のデメリット

一方で、出社回帰にはデメリットも存在します。特に、通勤負担の増加や柔軟な働き方の制限、オフィス維持コストの増加といった点が課題として挙げられます。ここでは、企業と従業員が直面する主なデメリットを見ていきましょう。

通勤時間の増加とワークライフバランスの悪化

出社が必須になることで、従業員の通勤負担が増加します。特に、長時間通勤を強いられる社員にとっては、出社がストレスとなり、仕事のパフォーマンスに影響を与える可能性があります。また、仕事とプライベートの時間配分が難しくなることで、ワークライフバランスが崩れるリスクもあります。

柔軟な働き方の制限と人材流出リスク

テレワークによって柔軟な働き方を求める社員が増えている中で、強制的な出社回帰は不満を生むことがあります。特に、子育てや介護をしながら働く社員にとっては、出社義務が負担となり、離職のリスクを高める要因になります。これにより、優秀な人材の確保が難しくなる可能性があります。

オフィス維持コストと運営負担の増加

オフィス勤務を再開することで、企業はオフィスの維持管理にかかるコストを再び負担する必要があります。光熱費や設備費用の増加に加え、従業員の安全確保のための感染症対策なども必要となるため、運営負担が増加する点も無視できません。

 

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総務担当者が出社回帰で直面する主要課題と解決策

出社回帰の流れが加速する中、総務担当者にはさまざまな対応が求められています。特に、出社とリモート勤務のバランス調整、オフィス環境の最適化、従業員の健康管理とモチベーション維持の3つが大きなポイントです。ここでは、それぞれの課題に対する具体的な解決策を紹介します。

課題①:出社とリモートのバランス調整

コロナ禍を経て、リモートワークの利便性に慣れた社員が多くいる中で、完全なオフィス勤務へ移行することには反発が生じる可能性があります。一方で、業務の種類によっては対面でのやり取りが不可欠な場面もあります。このバランスをどう取るかが、総務担当者にとって大きな課題となります。

解決策:業務内容ごとに最適な勤務形態を設計

一律の出社ルールを設けるのではなく、業務の特性に応じた勤務形態を整えることが求められます。出社が必要な業務とリモートワークでも対応可能な業務を明確に区分し、社員が納得できるルールを策定することが重要です。また、リモートワークを継続する場合には、業務の進捗管理や評価基準を整えることで、公平性を確保することがポイントとなります。

課題②:オフィス環境と設備の最適化

出社回帰を促進するためには、単にオフィスに戻ることを求めるだけではなく、従業員が快適に働ける環境を整えることが不可欠です。リモートワークに慣れた社員にとって、「オフィスで働く理由」がなければ、出社するモチベーションが低下してしまいます。

解決策:柔軟なワークスペースの導入

オフィスのレイアウトや設備を見直し、業務の特性や社員のニーズに応じた働きやすい空間を整えることが重要です。集中作業に適したスペース、チームでのコラボレーションがしやすい環境、リフレッシュのためのエリアなどを適切に配置し、出社するメリットを実感できるオフィスを目指しましょう。また、リモートワークと連携しやすいデジタルツールの導入も、オフィスの利便性を高めるポイントになります。

課題③:従業員の健康管理とモチベーション維持

出社することで生じる通勤ストレスや、リモートワークの自由度が減少することへの不満をどう軽減するかも重要なポイントです。特に、柔軟な働き方に慣れた従業員にとって、出社義務が増えることでワークライフバランスが崩れる可能性もあります。

解決策:従業員の心理的負担を軽減し、働きやすさを確保する

出社に伴うストレスを軽減するため、柔軟な働き方を取り入れたり、健康管理の支援制度を整えることが求められます。また、社員同士の交流機会を増やし、オフィス勤務の魅力を感じられる環境を作ることも重要です。これにより、単なる義務としての出社ではなく、仕事のしやすさや成長の機会としての出社を促すことができます。

こうした取り組みを通じて、出社が「義務」ではなく、「価値のある時間」と感じられるようにすることが重要です。

 

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出社回帰をスムーズに進めるための具体策

総務担当者が対応すべき課題を整理した上で、実際にどのような施策を導入すれば出社回帰をスムーズに進められるのかを考えていきます。ここでは、企業が取り組むべき具体的な施策を詳しく解説します。

ハイブリッドワークの最適化

ハイブリッドワークを適切に運用することで、出社とリモートのバランスを取りながら、従業員の満足度と生産性を両立させることができます。

  • 週〇日出社制の導入
     完全出社に戻すのではなく、週に3日出社、2日はリモートなど、業務内容や部門の特性に応じた「週○日出社制」を導入すると、従業員の負担を軽減できます。特に、チームでの協業が必要な業務は出社日を統一し、個人作業が中心の日はリモートを許可するなど、バランスを考慮したルールを作ることが重要です。
  • リモートワークと連携しやすいオフィス設備
     オフィスにはリモート勤務者とスムーズにやり取りできる環境が必要です。たとえば、オンライン会議用の防音ブースを設置したり、高品質なカメラやマイクを備えた会議室を用意することで、出社社員とリモート社員のコミュニケーションを円滑にできます。
  • 業務内容に応じた出社ルールの設定
     単純に「全員が一律出社する」のではなく、業務の性質に応じて出社・リモートを選べる柔軟な体制を整えることが重要です。たとえば、企画会議やブレインストーミングは出社推奨、個人作業や資料作成はリモート推奨といったルールを定めることで、効率的な働き方を実現できます。各部署の業務内容を考慮し、最適な勤務形態を設定しましょう。

コミュニケーションの活性化施策

オフィス勤務の価値を最大限に活かすためには、社内のコミュニケーションを活発にする工夫が不可欠です。

  • 社内イベントや交流機会の増加
     出社の魅力を高めるためには、単なる業務時間だけでなく、社内の交流機会を増やすことも重要です。たとえば、毎週1回の「ランチミーティング」や「カジュアル交流会」を開催し、異なる部署の社員同士が自然に交流できる場を作ることで、組織全体の連携が強まります。また、オフィスに来ることが楽しくなるような工夫をすることで、出社の抵抗感を減らせます。
  • オフィス内の雑談スペースの活用
     リモート勤務では減少しがちな「偶発的な会話」を生み出すため、社内に気軽に話せるスペースを設けるのも効果的です。たとえば、カフェスタイルの休憩スペースや、自由に座れるオープンスペースを活用し、ちょっとした雑談からアイデアが生まれる環境を作ることができます。これにより、部署間の垣根を超えたコミュニケーションが生まれ、業務の進行がスムーズになります。
  • 経営層との対話機会の創出
     従業員のモチベーションを高めるためには、経営層との距離を縮めることも大切です。「月に1回のオープンミーティング」や「経営陣とのランチセッション」などを設け、社員が経営層と直接意見交換できる場を作ることで、会社の方向性への理解が深まり、エンゲージメントが向上します。

従業員満足度を高めるオフィス設計

快適なオフィス環境を整えることで、社員が「出社したい」と思える職場づくりが可能になります。

  • 多様な働き方に対応したスペース設計
     集中できる個室、リラックスできるラウンジ、チーム作業用のオープンスペースなど、用途に応じた環境を整えましょう。
  • オフィスの快適性向上
     照明や空調の最適化、可動式デスクや人間工学に基づいた椅子の導入など、従業員の健康と快適性を考慮した設計が求められます。
  • 福利厚生の充実
     カフェスペースや仮眠スペースを用意することで、オフィス勤務の魅力を高め、リフレッシュしながら働ける環境を提供しましょう。

     

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まとめ

出社回帰の流れの中で、企業は単に「出社を義務化する」のではなく、従業員の満足度や働きやすさを考慮した制度や環境整備が求められます。総務担当者は、ハイブリッドワークの最適化やオフィスの改善を進めることで、スムーズな移行を支援しましょう。今後の働き方の変化を見据えながら、柔軟で効果的な出社制度を構築することが、企業の成長につながります。

 

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